暑さの真っ盛りではあったが、製薬メーカー主催のCML患者の集まりに参加してみた。
ネットや印刷物での情報も貴重だが、face-to-faceで得られる情報は、また一味違った意味合いがあり、足を運ぶ価値がる。そういった機会を提供してくれる主催者・後援者に謝しておきたい。
耳から入る情報は、とても分かり易い感じになるが、会場を出る頃には殆ど記憶から消え去っている。嘗ての様に丹念にメモを取る気力は、今は無い。
会場で拾った知見にのいくつかを印象的に書き留めておく。
(主要なところは、同席されたFさんに、期待したい)
①CMLは、10万人に1人程度の罹患率であり、血液腫瘍でも少数派に属す。
だが、分子標的薬として登場したグリベックは、5年生存率60%を10年生存率90%
に変えた。
⇒ということは、患者数が顕著に増加していくことを意味する。
⇒依然として治癒に至らず死亡する人もあるが、若い医療者は、急性転化での病状を
知らなくなってきて、患者への適切な対応に課題を生じている。
<慢性期での患者のコンプライアンス遵守指導も含む>
②現在、患者の病状(副作用なども含めて)に対応して、第一選択肢の治療薬が三種、
標準治療として採択されている。(イマチニブ・ダサチニブ・ニロチニブ)
更に、ボスチニブ・ポナチニブが治験段階にある。後者は、難治性の遺伝子異変
T315Iへの効果が期待されている。
⇒この治験への参加には、既存薬への耐性が条件になっている。
③ASH2011でのMahonらによるがん断薬の発表以来、関心の集まっている治療薬の断薬
への治験が、日本でも行われている。新薬の治験と異なり、治療薬服用の中止の可能性
を検証する研究のため、製薬メーカの資金的支援が得られにくい?事情もあり、個々に
行われていて、全体を統括するような動きがない。
⇒このHPの治験の項に既存の3チームは紹介してある。
⇒がん研究センターでは、厚労省のお金で、治療薬の間歇的断薬による再発の検討を
治験として実施している。
⇒死亡率低下で患者数の累積数が増加してくると、終生服用する現状の標準治療法では、
膨大な医療費となるので、断薬に対する検討(治験など)は、がん研究センターの
ような国家予算の中で対応すべき価値があろうと思われるが、優先順位は低い由。
⇒⇒これらの治験の情報は、なかなか患者には伝達されないきらいがある。
④患者の家族が、よく身内の患者のことを心配されて、このような患者の集いに参加さ
れる。ご高齢の方が、子息の罹患について、少しでも情報を集めて、より良き治療を
模索されるため、丹念にメモを取られている姿や、転勤族の連れ合いの発病で、いかに
対処すべきか、熱心に医師や患者仲間に問われている姿に、胸を打たれる。
患者の家族には、患者本人とはまた異なった心配ごとなのである。
⇒このような患者仲間の集いの価値の一端が、ここにあろう。
(百軒)
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藤本 (日曜日, 05 8月 2012 18:50)
「断薬」について、またくわしくお聞かせください。