院内患者会世話人連絡協議会の説明

(目的)

 

全国の病院で、白血病や悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などの血液疾患の患者(家族や遺族も含む)が、治療を受けている病院の中での患者会設立するのを助け、その維持・運営を支援し、もって、患者・家族にとって、身近で親しみやすい患者を中心とする患者・家族・医療者の交流の場作りを目指す院内患者会の普及とその発展を志します。


(院内患者会設立の支援)

 

自分が治療を受けている病院でも、院内患者会を作ってみたいと思われても、さて、具体的にどうすればよいのか、誰に相談をすればいいのか、悩まれる事があるでしょう。

その為に、『院内患者会設立マニュアル』を準備しました。ダウンロードしていただいて、自由に活用して頂けます。 これは、実際に院内患者会を設立し運営されておられる経験のある方々のご協力で作成されたもので、具体的な方法を示唆してくれるでしょう。

 

その上で、疑問があれば、『患者会設立・運営のQ&A』を覗いてみてください。具体的なステップを踏むにあたって、相談事項が出てくれば、ご遠慮なく『ご相談・お問合せ(メール)』のところから、本連絡協議会へ問い合わせていただければ、アドバイスやご相談により、設立のご支援をしてまいります。


(院内患者会の時代的背景)


医療技術の日々の進歩のおかげで、数多くの難病といわれてきた病気が治り、或いは命を救われる時代になってきました。半世紀前には、発病したら即「死」を意味して、病名の告知すら避けられていた血液疾患は、とりわけ医療の進歩の恩恵に浴し、多くの人が社会復帰を果たし、子どもらは成人への歩みを進めるようになりました。

 

血液のがん・腫瘍は、どのがんよりも格段の差で、詳細に病状が診断され、最も進んだ抗がん剤が、それぞれの病状に応じて、標準治療として用いられています。診断技術・治療技術・医薬品開発の開発進歩の最も進んだ医療分野であり、その恩恵で、多くの患者の命が救われています。

 

また、医師の言われるままの治療を受けていた時代から、医学上の明確な根拠に基いた診断事実(EBM)によって、医師が患者に対して病状説明をし、可能で適切な治療方法を説明する(インフォームド・コンセント)時代になってきました。

 

しかしながら、普通の健常者であるときは、医学知識や医療現場の事柄は、あまり知るところがなく、所詮は「よそ事」で暮らしています。そこへ、突然、血液のがんを告知され、即入院となりますと、今までの何気なかった生活の根幹を切断されてしまいます。

 

*死の恐怖が襲い掛かってきます。
*これからの生活の予測がつかず、不安におののきます。
*医師の懇切な説明も、ショック状態の頭では、受け止める術がありません。

 

治療に入り、辛く苦しい治療の浪に揺られつつも、同病の入院患者の姿や医師・看護師・薬剤師・医療相談窓口などでの説明で、疾患の姿が少しずつ浮かび上がり、情報も増えてくるでしょう。しかし、情報が増えるほど、自分のこれからの病気の行く方に迷いや疑いが、湧いてくるようになるでしょう。治療法の選択は患者がするものといわれると、その言葉の重さに押しつぶされるかも知れません。

 

*こんなに苦しいのに、治りそうな様子がない。もう駄目なのでは・・・・・・。
*どのような病気なのか、先生の話がよくわからない。
*いつまで、入院が続くのだろう。
*生活の方はどうしたらいいのだろう。復職できるのか、家事はこなせるのか・・・・・・子どもらは、どうしたらいいのだろう。
*どれくらいお金が掛かるのだろう。

 

幸いに、無事退院して通院治療の時期を迎えます。でも、家に独り居ると、体調の変化に過敏になり、不安が心を掠めます。入院中は、よく話しが出来た医師や看護師さんとの会話が消えてしまい、相談する人が居なくなり孤独感にさいなまれます。

 

*未だ元気が出てこないが、大丈夫だろうか。
*早く仕事に戻りたいが、職場は、どうなっているのだろうか。

 

このような患者がよく抱く不安や悩みに、同じ目線で、同じ皮膚感覚で語り合えるのが、同じ疾患の先輩患者です。治療上で困った事・悩んだ事・やってよかった事などを、既に経験した先輩患者から聞ければ、どんなに頼もしい事でしょうか。医療費の事や復職のこと、さらには生活上のことなど、姿の良く見えないことも、知る事ができるでしょう。何よりも同じ悩みを持つ仲間として、胸を開いて話合える事は、心の大きな癒しの泉です。

 

患者のための立派な患者会が存在し、治療の啓蒙や医療の改善に向けて活動されており、たくさんの情報も受けられます。しかし、私たちの言う『院内患者会』は、同じ病院で治療を置けているいわば隣組仲間が、家族のように親しく語り合うささやかな場で、お互いに、助け合い、癒しあい、励ましあう仲間つくりでの会なのです。


(院内患者会維持運営の支援)


念願が叶って「私たちの院内患者会」が発足し、「おしゃべり会」や「医療者・患者懇談会」などを重ねていくうちに、こんなはずじゃなかった、うまくやれないなど、会を世話する世話人・幹事の方々が壁にぶつかることもあるでしょう。

 

たとえば、入院患者の方の参加が得られない、中々人が集まらない、病院側との関係がギクシャクしてきた、医療者の参加が望めない、リーダーがいなくなり世話人を引き受ける人が居ない、会の開催場所確保に苦労する、お知らせのポスターが貼りだせない・・・・・・などがよく起こりそうです。

 

私たちの「院内患者会世話人連絡協議会」は、このような「院内患者会」を主宰し、お世話されておられる、院内患者会世話人の悩みを聴き、「院内患者会」共通の問題や個別の問題を話し合って、みんなの叡智を集めて解決していけるように、情報交流の場を準備いたしました。

 

一つは、「院内患者会世話人連絡協議会の総会」です。年に二回、世話人の方々が一堂に会して顔を合わせ、夫々の患者会の活動状況や、提起された問題解決の相談などを行っています。 また、登録された患者会の世話人の方々による「メーリング・リスト:ML」により、問い合わせや相談・報告を常時できるようにしています。「みんなの掲示板」も自由にご活用いただき、気軽な世話人での「おしゃべり会」ができます。ぼやきでも結構です。

 

また、「院内患者会 開催日程」で、各院内患者会開催の情報を一覧で掲示してあります。ご連絡によりそれぞれの患者会の日程を掲載いたしますので、通知連絡や相互交流の手がかりにご活用されていかがでしょうか。