グリベック服用のコンプライアンス(続)        百軒

CMLの治療薬のグリベック(スプリセル・タシグナ)の服用を、必ずしも医師の指示通りに行っていない様子について、前のブログで述べた。米国での調査(2006)では、75%とあった。患者の集いで話し合うための公開データを調べたが、見つからなかった。

 

緑内障の場合には、末尾に示すような調査結果があった。(2012年)やはり、80%程度である。

 

CMLは、現在の優れた治療を放棄すれば、近い歳月で死が待っている。

緑内障も、点眼治療の平易な治療を放棄すれば、失明が待っている(失明原因第一位)

そして、共に終生服薬・点眼を続けなければならない疾患である。

 

 

両方とも、自覚症状の乏しい疾患であり、当面の日常生活には支障がない。しかし、気が付いた時には、過酷な運命を避けることができない。

 

点眼治療のコンプライアンスが低下する理由は、忘れる(面倒くさい)が主だろう。いくらか炎症などの副作用があるが、患者の生活上で望ましくない副作用はあまりない。

 

CMLでは、服用に伴う多くの副作用がある。皮膚障害・嘔吐や下痢・浮腫みなどは結構QOLを悪くしている。CML疾患そのものの自覚症状としてのQOL低下は感じることがほとんどないので、クスリの服用のために生じた嫌な生理的現象を避けるために、クスリの服用量を減らしたり、服用を中断したりする要因がある。

 

非常に高価な薬のために治療を中断するというケースもあり、キャンペーンも行われている(調査データなどもある)。しかし、もっと医療者と患者の間でしっかりとコミュニケーションをとらなければならないクスリの服用実態に関する情報がないのは、残念である。

学会などでの発表があるのかもしれないし、製薬メーカも、カプセルから錠剤に変更したときのうたい文句に、コンプライアンスの向上を挙げていたが、裏付けのデータは公表されていない(実態調査の有無も不明)

 

ご存知の方があれば、教えて頂ければ嬉しく思います。

 

緑内障患者の5人に1人が治療を中断 

 

リンクを見られない方のために、全文をコピーしておく。(日経メディカル)

 

 緑内障患者のうち、点眼治療を自己判断で中断した経験のある人が2割に上り、治療中断によるリスクが患者に適切に伝わっていない実態が、ファイザー社の患者調査から明らかになった。10月2日に同社が行ったプレスセミナーで、日本緑内障学会理事長の新家(あらいえ)眞氏(関東中央病院院長)が調査結果を紹介した。

 調査は2012年9月12日、900人の緑内障患者を対象にインターネット上で実施した。その結果、点眼治療の中断率は18.7%で、40歳代男性に限ると25.3%に上った。中断者の44.6%は1年以上治療しておらず、平均中断期間は4.5年だった。点眼治療を中断すると視野欠損が進行する恐れがあるが、中断者は治療継続者に比べてそうした疾患・治療への理解度が低く、中断によるリスクについて医療者から説明を受けていた割合も少なかった。

配合薬により「点眼し忘れ」減少
 もっとも、緑内障治療では、点眼薬の併用により1日の点眼回数が頻回になりがちで、治療継続者であっても「点眼し忘れ」がネックとなる。そこで注目されるのが、1日1、2回の点眼で済む配合点眼薬だ。現在3剤が発売されている。セミナーでは、新家氏が代表を務める「緑内障点眼薬適正使用研究会」とファイザー社が、配合点眼薬の処方前後のアドヒアランスや患者満足度などを調べた「緑内障点眼薬の服薬アドヒアランスに関する調査(Glaucoma Research on Adherence to Combination Eye Drops;GRACE)」の結果の一部(速報)も紹介された。

 調査には、1071施設の医師1372人が参加。緑内障、高眼圧症と診断され、配合薬以外の点眼薬治療を受けており、担当医の判断で新たに配合薬が処方された患者を対象に、配合点眼薬の使用前、初回処方から4~6週間後、6カ月後に服薬実態を調べた(有効回答数、初回4325人、6カ月後3273人)。

 医師の配合薬の処方理由は、「剤数を減らしたかった(54%)」が最も多く、「前処方薬の眼圧降下効果が不十分」(43.9%)、「投与回数を減らしたかった」(32.9%)が続いた。実際に、配合点眼薬処方後の薬剤数は、処方前の平均2.37剤から平均1.72剤に減少した。

 配合薬の処方前後で、「服薬忘れなし」は72.5%から83.2%に有意に上昇した。背景因子別にみると、点眼薬剤数、点眼回数が減少した群では、それらが不変もしくは増加した群に比べて服薬忘れが有意に改善していた。配合薬処方前に週1回以上点眼を忘れた群(アドヒアランス不良群)と点眼を忘れなかった群(良好群)を比較したところ、不良群では68.9%の患者が配合薬処方後、服薬忘れ回数が改善した。また、点眼に対する負担感も配合薬処方後に有意に改善した。
 
 これらの調査結果を受け、新家氏は「視野欠損進行の危険因子である服薬アドヒアランスの不良を改善するには、疾患・治療への理解度向上に加えて、配合点眼薬切り替えによる点眼薬の数の減少が重要なポイントだ」とまとめた。