インフルエンザに思う

第16回日本ワクチン学会学術集会発表

◆JA北海道厚生連網走厚生病院 立花幸晃氏らの発表を、日経メディカルオンラインが

 紹介していて、「公費助成で高いワクチン接種率を実現、インフルエンザの低発症率

 や学級閉鎖現象に貢献」と報じている。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu/vaccine/201212/528154.html

 

◆データを表にまとめると下記のようになる。

 

調査項目      A市     B市 
   人数  比率  人数  比率
対象生徒数 3035    937  
ワクチン接種 1182  45.0%  641 68.4%
罹患者  796  26.2%   85  9.1%
学級閉鎖回数   50      8  
閉鎖合計日数  180     32  
接種公費補助   なし     あり  

 

◆報じられている内容からは、この研究は疫学的な見地からは気になる点もあるが、

 小中学生への積極的なインフルエンザワクチン接種の効果について、

 示唆するところがある。

 

インフルエンザの罹患率は、この図に見るように圧倒的に15歳以下の若年層に多い。

   http://influenza.elan.ne.jp/basic/age.php

そして、保育園・幼稚園・小中学校と集団発生しやすい環境でもある。

この年齢層に集中したインフルエンザ対策を講じる必要のあることはことは、

火を見るより明らかである。

この観点から、立花氏らの発表は興味がある。願わくは、疫学的に確りとした調査で立証されることが望まれる。

 

◆因みに、インフルエンザワクチンの接種率は、43%程度で

 ある。 (  NIKKEI BP NET より)

 罹患率が6%ほどなので、見合わせる向きもあろうかと思わ

 れるし、 接種しても罹患を完全には防げないこともあり、

 接種費用が平均で3,500円程度かかるのも一因かもしれない。

 

 

 

 

◆疫学的に明確な証左をもとに、罹患率の高い若年層の子どもらへの

 ワクチンの接種が推進されるようになれば、毎年繰り返される

 学級閉鎖などが大きく改善される希望がある。 

◆今年も、群馬県で最初の「警戒警報」がだされた。そして、

 大小はあるだろうが、 例年のごとく流行の山が迫ろうとしている。

 

 

◆死亡率の高い高齢者や、血液腫瘍をはじめ抗ガン治療を受けて免疫力の低下している

 方の対処は、若年層の子どもらとは異なり、自ら決めるべきことであろう。

                               (文責:三鍋康彦)