駒込病院おしゃべり会を訪ねて(2013/1/11)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主に血液疾患の患者や家族の集まりであるこのお喋り会を、久しぶりに覗いてみた。「おしゃべり会」を始めて以来、40回目になるという。このおしゃべり会には、殊の外に思い出がある。あの東日本大震災当日、10回のデイルームでおしゃべり仲間と恐怖に震えあがり、且つ、帰宅難民の一員となったことは、終生忘れないだろう。

 

また、時折参加するたびにいつも見かけ、常連宜しく座していて他人の話を真摯に聴き、自らは不治の病を宿命と受け止めながらも、海外の情報も精査して主治医と真剣に治療方法を相談されていたH氏の姿はなかった。彼の遺したブログには、今もその生き様がありありと覗える。

 

今回は、上掲のポスター(10枚ほどが院内に掲示されている)に長年気が付かなかったと言われて、初めて参加された方を含めて10名ほどの「おしゃべり会」であった。家族の話・闘病中の話・GVDHのもろもろからこれからの生き様まで、涙あり、笑いありのひと時であった。

 

途中、何気ない様子で坂巻院長がデイルームに入ってこられ、チョットみんなの話に耳を傾けた後、「この前にやった【移植患者の会】はとても大勢の患者さんが来られててよかった。とりわけ、病棟の看護師さんらは、入院中の苦楽を支えた患者さんのその後の元気な姿に接することができて、とても喜び、大きな勉強になった。」と話されて、またの機会を作りたいと言葉を残されていった。

血液のがんと言われただけで、即、死に思いが至る人が多い中での心の悩みは、一番支えてくれている家族には心配をかけない様にとの遠慮があり、無二の親友たりとも闘病での身体苦痛・精神上の苦悩が理解してもらえない辛さがあり、医療者へも病気の苦痛を伝えるだけが精一杯となる。こんな時に、本来は、全くの見しらずの他人なのに、「同じ病」「同じ経験」を核として、思いの丈を掃出して聴いてもらえるこのような患者仲間の集まりは、命のカタルシスの場であろう。

 

                                     (百軒)

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コメント: 1
  • #1

    ALLさち (土曜日, 12 1月 2013 21:24)

    昨日も大変お世話になりました。ありがとうございました。
    最後1時間も参加できませんでしたが、楽しいひとときで又励みになりました。
    以下、感想を書きます。

    私の闘病において大きく心を支えてくださったのは、入院中の同室患者仲間、患者会の方々、ネットのつながりの闘病仲間でした。
    皆様がいらっしゃらなかったら、移植の選択はもっと困難で苦痛でしたでしょう。退院後、衰弱しきった心身で社会の端っこに投げ出され途方に暮れるような孤独感は、もっと手に負えなかった様に想像しております。
    皆様に感謝しております。
    医療者には到底及ばない患者力をしみじみ実感しております。

    昨日は、移植の後輩,人生の先輩とお話して、「普通に生活できる喜びと感謝」について思い返しました。普通に食べられて、普通に外の空気を吸って、ご主人のお仕事に感謝して、そんな種類の喜びを移植後4年になる私は通り過ぎて、きっと生きていればその辺にごろごろしていそうな社会的,精神的な悩みに気持ちが占められていたことに気づきました。
    移植入院中、およそ半年振りに顔に初夏のそよ風を受け青空と白い雲を見上げた時の幸福感を思い出しました。
    良い振り返りになりました。