CML患者にとって、<チロシンキナーゼインヒビター>に属する抗悪性腫瘍剤なる、
【グリベック】、【タシグナ】、【スプリセル】などは、命の絆である。これらの服用に
当たっての注意事項として、製薬メーカーの医薬品添付文書には、「グレープフルーツジュース」摂取を禁じている。
●<グリベック添付文書> 併用注意より
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇することがある。本剤服用中は飲食を避けること。
発現機序の詳細は不明であるが、グレープフルーツジュースに含まれる成分が
CYP3A4を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる
可能性がある。
グリベック<患者向け くすりのしおり> より
グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、この薬の作用が強く出ることがあるので、避けてください。
●<タシグナ添付文書> 併用注意より
CYP3A4を阻害する薬剤等
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール等)
リトナビル
クラリスロマイシン
テリスロマイシン
グレープフルーツジュース等
本剤の血中濃度が上昇することがあるため、CYP3A4阻害作用がない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用する場合は、観察を十分に行いQT間隔延長等に注意すること。また、本剤とアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール:国内未発売の経口剤)との併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ1.8倍及び3倍に上昇したとの報告がある。
これらの薬剤等はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
タシグナ<患者向け くすりのしおり> より
グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、この薬の血中濃度が上昇し作用が強く出ることがあるので、避けてください。
●<スプリセル添付文書) 併用注意より
CYP3A4阻害剤アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール,ケトコナゾール等)マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン,クラリスロマイシン,テリスロマイシン等)HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル,アタザナビル硫酸塩,インジナビル硫酸塩エタノール付加物,ネルフィナビルメシル酸塩,サキナビルメシル酸塩等)
グレープフルーツジュース
本剤とケトコナゾールの併用により,本剤のCmax及びAUCはそれぞれ4 倍及び5 倍増加した。CYP3A4阻害作用のない又は低い代替薬の使用が推奨される。CYP3A4阻害作用の強い薬剤との併用が避けられない場合は,有害事象の発現に十分注意して観察を行い,本剤を減量して投与することを考慮すること。
これらの薬剤等がCYP3A4活性を阻害し,本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
スプリセル<患者向け くすりのしおり> より
生活上の注意
・グレープフルーツジュースによって、この薬の血中濃度が高くなり、作用が強くあらわれることがありますので、避けてください。
グレープフルーツと薬物の相互作用について(文献へのリンク)
グレープフルーツと薬の相互作用については、上記タイトルのリンクで見られる分かり易い解説がある。そこに、下記の様にグレープフルーツと同じような薬理作用を示す柑橘類に、「文旦」が挙げられている。
<グレープフルーツには果肉が白色のもの (ダンカン、マーシュシードレス) 、ピンク<色のもの (フォスター、ピンクマーシュ) 、赤色のもの (フォスターシードレス) な<ど様々な品種があります。図1にグレープフルーツの種類、図2にグレープフルー<ツの構造を示しました。柑橘類の中で薬物との相互作用を起こすのはグレープフル<ーツが有名ですが、最近では、ぶんたん (ポメロ) 、オロブランコ、ダイダイ (ビタ<ーオレンジ) などグレープフルーツ以外の柑橘類も薬物との相互作用を起こす可能<性が示されています。
かくて、グレープフルーツのみならず、文旦もCML患者には、「禁断の実」となっていることが分かった。しかし、製薬メーカの注意書きには、【グレープフルーツジュース】
と書かれていて、他の類似薬理作用を持つ柑橘類への注意はない。しかも、ジュースと書かれているので、果実そのままならいいのかと疑念が湧く向きもある。
皆さん、私の様に文旦を召し上がられるのでしょうか?
料理に乗っているひと房程度のグレープフルーツも今では、口にしますが、これは
真似ないでくださいよ。
( 百軒 )
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