血液疾患のプチ患者会は、ブラックホールの様に東京都、しかもその都心部に集中している。マップに見る様に、関東圏でも他の6県には患者会はまばらであり、東京都のみに焦点を当てると、更に都心部へと極度の集中を呈している。
血液内科のある医療施設以上の集中ぶりである。
東京都内の個々のプチ患者会については、
を参照して頂きたい。
47都道府県での全プチ患者会は70であり、平均で1県あたり1.5にとどまるのに、東京都には17あり、24%が集中していることになる。患者にとっては患者会への参加の機会が多くて好条件下にあると言えるが、個々の患者会の連携は乏しくて非公開の院内患者会型がほとんどである。一方,地方では
患者会の数こそは少ないものの、ローカルの公開型で多くの患者に門戸を開放している活動がある。
都心での公開型への展開と地方での患者会の増加を願う時に、ふと目にした事例が、「肝臓病教室」の活動である。
血液疾患の患者への医療情報の啓蒙活動は、疾患別の大きな患者会5つによって、多くの医療者の多大な支援を受けて行われてきている。また、プチ患者会の数も、がん疾患の中では、乳がん患者会に次いで多い部類に入る。それでも、
未だ地理的や周知不足などで、患者会への参加のかなわない患者が多くいる。
この現状から、更なる発展をするための施策として、「肝臓病教室」が参考になろう。
肝臓疾患の患者会としては、大きな全国組織を持つものがあるが、ここで見て行きたいのは、慶應義塾大学病院の加藤真三教授によってはじめられた「肝臓病教室」である。現在では、全国に180ほどの肝臓病教室が開催されるに至っている。
1996年に、同病院の肝臓疾患の患者への医療情報の啓蒙教育を目的として発足したものである。その実施の中から、患者によるグループワークから患者同士の交流の有意義性を見出し、また患者を接点とした多くの医療職種の人たちの参加から、異業種コメディカル間のコミュニケーションの改善に思わぬ成果を見出したとある。その成果の一部は、
「肝臓病教室のすすめ」2002年出版(メジカルレビュー社)で知ることが出来る。
*KOMPAS 2012年9月 肝臓病教室:慢性病時代における医療情報の提供
*実施事例:福井県済生会病院内科;肝臓病教室の設立と運営について
患者主導で展開される傾向の強かった血液疾患の患者会であはるが、医療者の個々の支援も多くの事例で見られる。医療者主導で始まった「肝臓病教室」とは対照的であるが、がん治療連携拠点病院における「患者サロン」の推進方針が打ち出されてきた時代でもあり、目指すところは同じである。大いに学ぶ価値があると思う次第である。
(百軒)
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