第14回HOSPAC総会では、慶應義塾大学病院の近藤咲子師長にお話をして頂いた。
【慶應義塾大学病院9S病棟患者会について】
1996年、骨髄移植患者を対象として、慶應病院血液内科で医療者主導で設立された
患者会である。非常に厳しい治療を受ける患者を支えるミッションを持った熱い想い
の医療者の決意がその原点にある。年一回の総会(100名もの参加者)と年3回ほどの
会報の配布を基軸にしている。その後、親睦・支援から医療環境の変遷に対応して
現在では、
①移植医療に関する知識の共有
*医師による講演などの啓蒙活動…対患者・家族
*看護師らによる研究発表…現場の情報の周知
②移植患者の抱える諸問題への取り組み
*フリートーキング会開催…ピアサポート
*移植患者への支援…各自の役割発揮の場を具備
*家族(患者のケアギバー)への支援…ホットの会
…AYA世代への支援
③移植医療発展への活動…患者会活動の有意義性の啓発
*研究会・看護学会・移植学会などでの発表
今回の講演に接し、改めてHOSPAC総会で行った講演から、患者会の事例を挙げておきたいと思った。どのケースも、患者への熱い想いのミッションを心に抱き、献身的な活動力を発揮する「個人」がある点が、注目される。
逆に言えば、このような個人依存を脱却して、医療現場にあっての「患者会」の役割が
何処でも発揮できるような環境づくりを、現在の医療環境にいかにして構築するかという命題があると痛切に感じる。
第6回HOSPAC総会(2009/5/16)では、済生会習志野病院 藤川一寿医師にお話頂いた。
【医療者と患者とのパートナーシップ:患者会ヒマラヤ杉の会】
強い一医師の信念とよきパートナーとなる一患者の熱意から、2004年に立ち上げら
れたた習志野病院 血液内科の患者会である。二ヶ月に1回ほどのペースで開催され
ている。医療者と患者家族のコミュニケーションの場造りのモットーに恥じぬ医師・
看護師らの参画があり、入院患者らへ付き添う看護師の姿がある。患者も50人ほどの
の参加者が、疾患別のカードを身に着けて、同じテーブルについて、ピアサポートの
役割を果たしている。二次会・三次会と続き、親密な人脈作りが行われている。
参加者への誘いや呼びかけは、医師自ら行うことで、診療規模に比較して非常に参加
者が多い。また、患者の状況をよく知る医師や看護師ならでは配慮が行き届いている。
(患者会設立に奔走する患者仲間の見学を受け入れてくれる配慮がある)
第9回HOSPAC総会(2010/11/13) では、「萌の会」の和田真由美さんにお話頂いた。
【地域患者会「萌の会」のミッションと活動】
1998年、まだ医療情報も乏しく、血液腫瘍患者の患者会があまり見られなかった
当時にあって、一患者である和田さんが、患者同士支えあえる仲間つくりの場として
「萌の会」を設立した。その後の歳月を、主催者立場で毎月の会報発行と年一回の
総会を開催をし、患者や家族の支援活動は石川県の地区全体に及んできている。医療
機関も発足当時の金沢大学医学部付属病院にとどまらず、地区ごとの患者会の集いを
為すまでに広がってきている。会員制を取っているが、血液腫瘍の白血病・再生不良
貧血・悪性リンパ腫などや血液免疫疾患の膠原病など幅広い患者とその家族、医療
関係者として医師・看護師・SW・保健師、骨髄バンクコーディネーター・ドナーなど
が参画している。
地域のローカル患者会として確りと地域に密着し、幅広い人たちの親睦と学びの場と
して素晴らしい活動が、注目される所である。
(文責:三鍋康彦)
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