地域連携へのがん患者支援の模索・・・相模原市のケース

神奈川県に三つある政令指定都市の一つ、相模原市で「がん患者の為の勉強会」があった。この分野に造詣の深い大松重宏氏の「総括研究成果」講演・相模原協同病院における院内ピアサポート活動・北里大学病院でのがんサロン活動・いずみの会からの患者会活動事例・行政からの支援情報などが提起された。

 

大松氏の講演は、がん患者支援活動としてのがんサロン・ピアサポート・患者会の現状と問題点について多くの示唆に富むものであった。惜しむらくは、個々の実例を網羅した資料の公開が、見当たらないことである。(がん情報サービス:国立がん研究センターの公開データでは、実情が把握できない)

 

相模原市には、がん診療連携拠点病院が二つ指定されている。

 

その一つ、相模原協同病院から、院内のピアサポート活動の話があった。

2010年より病院内の組織として活動を開始し、現在、月四回の開催をしている。専属メンバー2名を当てているが、ピアサポートの実務は、キャンサーネットジャパンが行っている。神奈川県内ではこの事例が多い。厚労省がピアサポーターの育成に旗を振っているが、若干の講習で出来る仕事ではなく、かつ同じ病歴経験者が必要となるため、経験豊かな組織の活用は、賢明な選択であろう。

なお、院内患者会として、「富貴草―がん」「あじさい会―糖尿病」があり、ホームページに、掲載されている。

 相模原協同病院:http://210.175.236.137/content/support_center/pia.html

 NPO法人キャンサーネットジャパン:http://www.cancernet.jp/

ピアカウンセリングで、地域で広く活動している事例としては、

 NPO法人ミ―ネット:http://me-net.org/

 

他の一つは、北里病院で、がんサロンの取り組みについての話であった。

2004~2009年での医療者ボランティアによる準備活動を経て、院内の企画提案・根回しなどを経て、2009/10に「がんサロン」として発足している。毎月一回の開催で、平均参加者23名。ミニ医療講座を組み込んで、新たな患者の参加を促進させている。開放的な雰囲気でのピアサポートの場となり、医療情報や患者同士の情報交流に効果を上げている。運営は、院内職員とがん体験者とで行っているが、多様ながんサロンへの展開・医療者主導から次の段階へ・地域活動への発展など、課題を明確にしてきている。

尚、同病院には、患者への「トータルサポートセンター」による一般的支援があり、院内患者会として、「おしゃべり会ー乳がん」「北藤会―ストーマ」「つくしの会―全がん」「わかめの会―糖尿ヤング」「北里腸炎友の会」「なごみの会―腎移植」「心臓二次予防センター患者会<北里ゆうゆうクラブ>」がある。

北里大学病院:http://www.kitasato-u.ac.jp/khp/section/bumon/soudan/

 

血液腫瘍疾患の患者会の一つである「いずみの会」から、活動の報告があり、

稀少疾患のがん患者への支援を地域に育成するためにも、病院・行政・患者会の協力が大切であるとの示唆があった。この地区には、血液腫瘍の院内や地域患者会は見られない。

「いずみの会」http://members.jcom.home.ne.jp/firstsight/izumi/index.html

 

なお、同日東京都板橋区内の拠点病院による合同講演会が開催されていた。

こちらも、地域でのがん患者支援の一環であるが、主として教育啓蒙が狙いである。第4回日本大学医学部附属板橋病院・帝京大学医学部附属病院 地域がん診療連携拠点病院合同市民公開フォーラム

 

この所、地道な地域現場でのがん患者支援への動きが、近場でもいくつか見られて、第一回がん患者集会とちぎ・日医大武蔵小杉病院のキャンサーボード勉強会での患者視点のテーマの取り上げ・埼玉県のがんを考える会など、このブログに書いてきた。昨年の総会での「支えあう会α」の野田真由美さんの話にあった千葉の様な活動が、どこででも展開される日を楽しみにしたい。

 

                                                      (文責:百軒)