グリベックのジェネリック、出揃い、慢性骨髄性白血病に適応となる。

高価な医療薬の事例として挙げられてきた「グリベックに対するゲネリックが、2014年末には販売会社数12社、製品数15品と出揃った。今までは、フラデルフィア陽性急性リンパ性白血病にのみゲネリックの適応が認められていたが、今回、慢性骨髄性白血病へのゲネリックの適応が認められた。薬価などの一覧を下記に示す。

医療費の抑制施策として、行政は先発医薬品のジェネリック品への転換推進への施策を大きく打ち出している。薬価が下がることは患者の直接的な経済負担が減るので、歓迎される向きも多い事であろう。 

 

しかし、抗がん剤服用時の治療効果と副作用での経験を経た患者の視点からは、複雑なものがある。

① 一患者として、後発品への切り替えをどう判断するかは、微妙な問題である。

 副作用の情報なしに切り替えるには、逡巡があろう。治療効果の向上が全く謳われていないジェネリックで治療上のメリットは皆無なので、なおさらである。また、治療効果の向上を期待するなら、第二世代のTKIへの選択もある。医師にとっても、処方を決めるのに厄介な問題かもしれない。

 医療費削減の観点からは、総論賛成すべきであるが、高額療養費制度を活用していると

 患者本人の負担額は変わらない現状がある。この基準薬価では、CML患者の大部分が服用している13錠以上(標準4錠)では、高額医療費適用となり、個人負担額が変わらない。後ろめたい気持ちは残るが、薬の切り替えの不安が優先する。

③ 他方、ジェネリック推進を目指す医療報酬改定の諸制度がある。 医師は、処方箋で

 医薬品一般名で記載することが基準となっていて、加点がある。

 先発薬名で処方する場合には、個々に掲載欄へ署名しなければならない。〔加点無〕

 薬局では、薬剤師は医薬品一般名の処方に対して調剤をすれば加点が付く。もしも、

 先発薬を処方した場合は、処方調剤の記録にその理由を記載する義務がある。たとえ

 患者の要望で行った調剤でも記載義務がある。さらに、ジェネリックの調剤率が全体

 として低下すると、調剤報酬が低下する仕組みが組み込まれている。

 これらは、患者の立場とは背反事象となり、もしかしたら、医療者の立場と経営者の立場の板挟みとなる可能性がある。

 

 立場や信念によって、多くの異論もあろう。コメント頂ければ嬉しいことである。

                        (文責:百軒)

 後半は採録したものである。