血液疾患治療中の食事について

山内千晶さまのご厚意により、九州大学病院血液腫瘍内科主催の医療講演会においての

「血液疾患治療中の食事について」お話の要旨を、此処に転載させて頂きます。


入院治療中の患者にとって、栄養補給を十分に配慮することは大切なことですが、

化学療法や放射線線療法で体力を消耗し、その上副作用などで摂食の困難な状況に

ある患者に対して、家族などは懸命に栄養を摂れと食事を強要しがちになります。

また、医療者においてもその傾向がみられ、患者を困惑させる結果となりがちです。

これに対しての転載のようなアドバイスは、一顧の価値があるように思います。

                              (文責:百軒)

    

<九大医療講演会よりの報告>
先日、九州大学病院血液腫瘍内科主催で開催された医療講演会の概要をUPしておきます。

血液疾患を主としていますので、他疾患については当てはまらない点もあると思いますが

御参考までに

血液疾患治療中の食事について





血液疾患の治療は化学療法が主です。…というより、それしかありません。大量の抗がん剤と放射線療法はどうしても食事が取れなくなり、患者本人はもちろんですが支えるご家族も、一番の心配事項です。「食べない=治らない・元気にならない」・そういう図式がどうしてもあるからでしょう。 


今回、お話頂いた九大病院栄養管理室の山口先生は管理栄養士であり、またご自分もがんサバイバーです。プロとしての基礎知識、経験と応用、そしてサバイバーとしての教科書的ではない実体験のお話をしてくださり私は2回目になりますが、毎回とても勉強になります。まずはっきりおっしゃったのは、「治療中はご飯は全部、まずくなります。 


どんな一流シェフが作った料理だって 味覚障害や口腔内膜炎で食べられなかったり まずくて仕方がありません!」の一言(笑)これには毎回会場が騒然としますwwwでも本当ですよね。治療で嘔吐、吐き気、味覚障害、口内炎。消化不良に便秘、下痢。食べたくても食べられなくなりますもん。 


先生は「ともかく世間一般の栄養を取る!という概念を捨ててください。必要な栄養は点滴があります。それよりオナカ、腸を少しでも動かすということを考えてください。」と仰います。バランス良く食べよう、偏食は止めよう、インスタントは避けよう、嗜好品は控えよう…こういう考えは全く捨ててしまってともかく何でもいいから口に入れる、量はひと匙でも一口でもかまいません、とお話されました。


腸を動かすというのは本当に大切なことで腸は免疫の8割をつかさどる器官なのです。もちろん粘膜障害で健康な状態ではありませんが腸を動かすということは、排泄にも大切ですし何より「何かオナカに入れて出すということは基本中の基本なので、サボらせないように。」と言われました。 


もちろん血液の病気はナマモノがダメだったり刺激物は避ける、グレープフルーツ類はダメなどの制限はあります。また糖尿病などステロイドなど薬剤によっては危険性があるので医師の制限は守らないといけません。でもそれ以外であれば、ともかく毎食アイスでもともかく口に入れられる物を入れるようにと…一口で高カロリー摂取できるものを選ぶとか細かく刻む、やわらかく煮るなどの工夫をして少しでも口に入れるということを目標にすれば普通どおりに食べられるようになるまでの期間が短くて済むそうです。ただ量はたくさん食べられません。ご家族はそこをしっかり考えて、差し入れだったり食事の用意をしましょう、と言われました。また味覚障害があると味の濃いモノがいい、と言われることが多いのですが、先生の場合は「逆に味がついた物は全くダメでした。だから素材の味だけのモノを食べてました。」と言われました。 


私もそのクチで、ともかく味が付いていると甘いモノ以外は苦く感じていました。未だに味覚障害は残っていて出汁の味は判りにくいのですが、それでも人工のものでなければ何とか嫌味なく食べることはできるようになりました。ともかく味覚障害は人それぞれですからいろんなものを試して見て、ダメかどうか自分で探すしかないそうです。お食事の用意をされるご家族に対しては「治療中、直後はあなたの腕のせいでも何でもなく 食事はまずいものですから、落ち込むことなく そのうち戻るさ、くらいに構えて置かれてください。 患者にとって食べるということはある意味修行。 だから温かく見守って、残しても食べられなくても めげずに、その時が来るのを待ちましょう。」と温かいお言葉をかけられました。 


他にもいろいろ栄養学の話や食思不振になるメカニズムなどお話がありましたが化学治療を受ける患者やその家族にとって食事の問題は生活の一部。上記のような、体験に基づいて話す内容は本当に役に立ちました。会場では少量でカロリーが補えるレシピや下痢もしくは便秘、口内炎などの症状別のお勧めレシピが配布されました。 


先生のお話、治療前にお聞きしたかった!と毎回思う私でした。


                             ( 山内千晶さまより)


 

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コメント: 1
  • #1

    藤田 (日曜日, 01 2月 2015 20:59)

    私も1年間、ほぼアイス、メロン、バナナで過ごしました。口にできる日は良い方でしたから、周囲は気を使ってくれていたと思います。