【看護の力】・・・看護の向上で予後が変わる・未来が変わる

人間には、飼い犬の排泄物の処理は淡々とやるのに、親の排泄物の処理には嫌悪の情を隠せない勝手な所がある。これが、一転入院治療を受ける身ともなると、遠慮しつつ或いは声高に人様のお世話になる。治療の核心部こそ医師のお世話になるが、検査・点滴・注射・傷の手当など補助的?な医療にとどまらず、摂食・排泄物処理・行動の支援など生活維持にかかわる全てで思い浮かぶのが、看護師である。幸いにして通院治療へと移ると、途端に看護師さんの姿が見えなくなる。

―<看護の力>看護の力で予後が変わる・未来が変わるー・・・患者生活を長くしていると、疾患や治療法などの講演などに接する機会が結構ある。論理的な世界で説得力もある。でも、あれほどに入院生活を支えてくれた看護の話に接する機会が案外に乏しい。(求めなかったかな?)東大医科研附属病院の副病院長・看護部長の最後の講演として表題の<看護の力>を聴きに行った。看護管理・看護システム構築のお立場からの視点でもあったので、三交代勤務・時間外労働など多忙を極める現場の看護師の方からは、異論があるかも知れないが、患者として納得できる未来の看護・介護の姿だろうと思われた。

 

在宅ケア―・地域包括ケアーの時代を迎えているのに、看護と介護に法的な境界が置かれていのは我が国に限ったことではない。オランダの事例として、旧習を打破した少人数での実践による看護師・メディカルコワーカーの一体となったチームケアーを未来の姿として紹介された。そこには、日本の医師法・保健師助産師看護師法・介護保険法ほどには古くから引きずってきた法令の壁はない様ではあるが、まず、メンバーの医療への熱い思いがあってのことであった。

 

看護の仕事は、何気ない平凡な行為も多く、その本質が見えないのである。

①患者の日常生活的な面を支援し、自ら行えるように支える。

②患者の心を支える。極限状態に陥っている患者の気持ちを共有すること・苦痛苦悩を少

しでも快適に仕向けること:且つ感情労働として排泄物処理・外傷手当などに於いての

感情表出の抑制

③医師の診療をアシストする。

④患者の持てる力を引き出す。患者へエンパワーして、自主的に考え行動できる選択力を

 回復させる。

⑤コーディネートをする:患者と共に家族ごと支える・チーム医療のキーパーソンを務める・家族看護介護への支援をする。

 

一見何気ない行動の中に看護の質が潜んでいる。

 *こうしましょうと看護の視点から言うよりも、どうしたいのかの患者の言葉に耳を傾けることで心を開いてもらえる。

 *寝たきりの患者を、少し体を動かしてやることで褥瘡が防げる。

…このような当たり前のとも思われがちな幾多の看護の作業や気配りを、周囲が気付かずにいることが多い。