筑波記念病院の印象・・・受付窓口にて

TVドラマ「アリスの棘」にこの病院の一部が登場した。が、棘などどこにもない、春陽の陽射しを受けた桜のようなやさしさに、この病院で出遭った。

所用でAさんと病院を訪れたときのことである。働き盛りの50の男にも更年期があるのだろうかと、来る道で似つかわしくない言葉を発していたが、ダンディなAには思い当たる節もない。しかし、「こぶしの会」の皆さんに昼食に誘われたとき、ほとんど箸をつけなかったのを見て、ただ事ではないかもと、食事会が終わるのを待ちかねて待合室へと連れ戻った。迷惑を掛けずに一休みしたら、帰路に就く心積りに見受けられた。

土曜日の十二時寸前で、パラパラと外来受付へ来ていた患者とおぼしき人影も見えなくなっていた。受付けの窓口で、体調不良なのでどこか横になった休める場所がないかどうか、あるいは受診が可能かどうかと尋ねてみた。すぐに、「寝台で休めるところへ案内しますよ」、「受信されるのでしたら、一時半からの診察はできますよ」と笑顔で答えてくれた。Aの外観からはとても急患には見えなかったが、不安と悩みは辛いものがある様子であった。受け付けの方は、問診票を見ながらどこかへ電話をして、救急の方ですぐに診てもらえますので案内しますと、Aを案内して行った。点滴・血液検査などの処置を受けてAが戻ってきたのは、四時過ぎであった。

Aを医療者に委ねてほっとして、患者会が始まるのをなんとなく待っていたが、そこはたまたま入院受付の前であった。ふと、受付の方と目が合った。すると、「入院のことでお待ちでしょうか、ご用件を伺いますよ」と優しく声をかけられた。外来の受付といい、入院受付といい、こちらが思っている一歩先を想定しての積極的なこのような声かけや行動に、とても心を温められた気持ちになった。

 

患者会の始まる前に、この病院の経営母体なる筑波記念会の会長小関氏が会場入り口に来られて、集まった患者の皆さんに激励の声をかけていかれた。古からの患者であろうか、お婆さんが懐かしいとハグをされていた。患者会では、よくあるように卓上にペットボトル入りのお茶にお菓子が置かれていた。会の半ばくらいに、カップでの珈琲が出てきた。この珈琲は、小関氏からの差し入れであることを後日知った。                                 (百軒)