血液疾患の在宅医療に関する患者へのアンケート研究のこと

がん患者の10年相対生存率が60%となり、がん疾患が慢性的な側面を見せ出してきている。血液疾患に関しては、やや厳しい状況にはあるが、長期にわたる連続ないしは間歇的な治療を受けることに変わりはない。血液疾患での発症時の生存を賭けての急性期治療は、がん診療連携拠点病院など大病院での入院下で行われるが、その後のフォローアップや支持療法などについても、血液疾患では多くが大病院に依存している。

一方では、慢性期患者の受け皿の不足のために、厚労省の基本方針として在宅医療の推進が強く押し出されてきている。このような背景を受けて、血液内科を擁する病院の医療者と在宅療養支援診療所の医療者の双方を対比した先行アンケート調査がある。(臨床血液2014;55(11)2267-70)

それによると、病院側と診療所側とに認識のギャップのあることが明らかにされている。

 

この調査には、当事者である患者の意向は反映されていない。その点を明確にして、先行研究と一体となって、大病院の病棟・外来治療と在宅医療の連携制度の構築を目指すのが、今回提案されているプロジェクトであり、血液疾患の患者会の皆さんからの協力が不可欠である。

賛同されるは、大橋晃太医師へご連絡いただきたい。(HosPACへご連絡いただければ伝達いたします) 

患者側には、がんや難病、取り分け血液疾患のように厄介な疾患の場合、大病院への志向が強いと言われ、長期治療を要することからくる医療者との信頼関係が強く、簡単に診療所への転院や在宅医療を望まないともいわれる。しかし、通院や間歇的な入院での治療が、通院に介護の手が必要で支援不足の悩みがある患者にとってQOL向上への寄与ができる可能性のある在宅医療の選択肢があればうれしいことである。