とあるがん患者サロンの歩み

がん診療連携拠点病院(国指定)の殆どで、がん患者向けのサロンが開催されている。現実の運営状況は千差万別でが、開催担当の方にとっては、どれほどの患者や家族に関心を持ってもらえるかが、一つの関心事であろう。いろいろ工夫をされておられる様子が垣間見える。

久しぶりにK病院のオレンジ会に参加してみた。嘗ては、医療者側十名ほどに対して患者家族が片手ほどに過ぎない頃もあったが、今回は30名ほどの参加者であった。

同じく拠点病院である近隣のIには、緩和病棟がある。今回初めて、そこで活躍されている西医師を招聘してのミニレクチャーを行った。このような補完性のある相互交流の試みは、患者にとっては嬉しいことである。距離的に近い関係からI病院のがんサロンとK病院のオレンジ会の双方に参加している患者や家族も結構いるのである。
これからも、色々と患者や家族を支えていかれる試みを期待したい。

 

 

三年有余も前の事、このオレンジ会が勉強会と名乗っていた頃、太田美知彦らの演奏会があった。

そこには、入院患者の方が参加されていた。演奏の切れ目で、今生の思い出に自作の歌を歌わせて欲しいと申し出でをされた。演奏者も、病院関係者も即刻その患者さんを演奏の場へと誘った。後刻同じ病の方とお見受けして声をかけると、プロの伴奏で自作の歌を歌えたことをとても喜んでおられた姿が、今でも瞼裏に蘇る。

今日も、とても似た入院患者の方が参加されていた。講演が終われば声を掛けようと思っていたが、早めに退席されたようであった。