知らぬが仏の『シナモン』

浅学の身なれば、世の中の万事を知らぬが仏で打ち過ごしている。でも、病院のイベントで血管年齢を測って貰ったところ測定不能と言われた事があった。それで上掲のようなTV番組を見ると、目を皿に耳をダンボにとなる。チラッと、ゴースト血管の予防に生薬のケイヒが有効とあった。
満更いい加減な話でないのは、有名な化粧品メーカーS社のニュースリリーフがあり、大学教授らによる研究成果として「ケイヒエキス」が謳われてもいるのである。

 

ケイヒは桂皮とも書かれ、別名肉桂(ニッケイ)とも言われる。中国から江戸時代に渡来した樹木を肉桂と名付けた。その根の皮に芳香があり、嘗て駄菓子のニッキやニッキ飴に使われ、京都の銘菓「八っ橋」にも使われていた。(八つ橋には、現在「カシア」が使われていると思う)
高度成長期の頃から始まった食材や菓子の洋風化に伴って、世界での代表的な香辛料「シナモン」が多く使われるようになり、高齢者には馴染みのある「ニッキ」なる名前はすっかり影が薄くなってしまった。

写真のようなシナモンの粉末は、洋菓子類でよく見かけるだろうし、香辛料として料理に使い、ドリンクに混ぜるのもよく見かける日常である。サプリメントの仲間としても、シナモンの製品が並んでいる。

 

シナモンは、樹木の樹皮を加工して作られる天然物ともいえるので、樹木の原産地によって違いがあると言われる。次の三種に大別される。

 

セイロンニッケイ(Cinnamomum zeylanicum):ヨーロッパでシナモンといえば、これを指す。

シナニッケイ(Cinnamomum cassia):ヨーロッパではカシアといわれて、シナモンとは峻別

         して使われている。日本で生薬ケイヒと定められているのは、これである。

肉桂(Cinnamomum sieboldii):シナモンの仲間であるが、日本では肉桂と呼ばれ、樹皮では

         なく根皮からとられていた。現在ほとんど見られない。

 

これらの特徴を要約した一例として、健康かんぽうブログから拝借して下記に転載させて頂く。

 

 

 

日本では、どれもこれも「シナモン」と称して流通している。風味の違いぐらいなら問題にすることもないのだが、東京都福祉保健局の「食品衛生の窓」から『シナモンを含むサプリメントの過剰摂取にご注意』と、芳香成分でもあるクマリンによる肝障害が指摘されているのである。

シナモンの違いによるクマリン含有の差異が下記の様に示されている。

 

 

「ゴースト血管」を無くそうとせっせとシナモンを摂ると、「知らぬが仏」と相成るのである。とりわけ、サプリメントにそのリスクが高いと読み取れる。ドリンクやケーキ類にシナモンが健康に良いと信じて、カシア系のシナモンを知らずにたっぷりと使ていると、これもまたリスクを負うことになる。

 

メーカーによっては、製品のラベルにセイロンシナモンかカシアかを明記しているところもあるが、

「シナモン」とだけの製品も多い。セイロンシナモンよりもカシアの方が、安価なのもこの傾向を助長することになる。

 

「知らぬ仏」が、遅まきながらふと気づいての投稿である。諸兄姉には、今頃そんなことをとお笑いであろうが、浅学の身なればよくやることなのである。

                                      (百軒)

注:トップページの『薬草』の処には、真面目な生薬のことを投稿して置いた。(2018/8/17)