イマチニブ(グリベック)が初めて安くなった➡大原薬品工業の挑戦

 

 

今年の10月1日より収載された医薬品の薬価に於いて、大原薬品工業が先発品グリベックのジェネリク品イマチニブの薬価を一段と下げたので、服用錠剤量・まとめ処方期間・患者層(年収&年齢)での年間自己負担額を試算してみた。いずれの場合でも、上図に示すように「イマチニブ錠100mgオーハラ」を選ぶと経済的に大幅に有利となることが分かった。 グリベックの特許切れ以来先発品もジェネリックス品も薬価を下げてきており、ジェネリック品の薬価は先発の40%ほどになっている。しかし、5年を経過した現在でもジェネリック品はその役割を果たしていないと思われる。

 

 ①高額療養制度なるセーフティネットのお陰で、患者の自己負担額は先発品もジェネリック品

  も変わらない。 

 ②抗がん剤の微妙な副作用を知る患者にとっては、使い慣れた先発品を変える理由がない。

 ③ジェネリックメーカーが多数申請しながら、全く競争原理が存在せずに同一価格に

  安住している。患者の自己負担額が高額医療費制度の金額になることは、医薬品メーカーに

  には自明のことなのに、対処する経営上の意志がない。 

 ④2万人ほどの患者の市場であるが、依然として先発品の市場独占が続いている。

 

因みに、グリベックの場合はほとんどのケースで高額療養費で定まる年間自己負担額であり、「オーハラ」以外のいずれのイマチニブ(ジェネリック)も同様である。それに反して、「オーハラ」の場合は、多くの場合で高額療養費限度額以下の自己負担金になっている。

 

患者への経済的メリットを提供すべく、昨年度大原薬品工業が破格の531.2円の薬価を出したが、多くの場合で高額療養費制度の壁で、十分に効果が出せて居なかった。今回、378.5円の薬価を提供することで、先に示したように、患者への経済的メリットが実現した。 因みに、現行の各社の薬価は下表のようになっている。

 

このテーマに関しての論点【グリベック・高額医薬品のジェネリック選択の問題―大原薬品工業の一石】として、2018/12/5付けのブログに掲載してあるので、ご参照頂ければ幸いである。

尚、イマチニブ錠の年間自己負担額の計算方法が、大原薬品工業のホームページに掲載されている。

それを用いて計算してみたが、高齢者のケースでの計算不能になっていたので、別途試算した結果を上掲の図とした。

         *高齢者のケースもその後計算されるようにはなったが、高齢者の層の

          70歳以上75歳未満(自己負担率20%)と75歳以上(自己負担率10%)

          区分が明示されていない。

   

 

 

  計算条件❶薬価以外に、調剤に関わる諸費用を8000円/回

      ❷診療費・検査費として15000円/回、

              特殊検査PC法25000円/3ケ月

      注意:CML(慢性骨髄性白血病)の医療費のみを計算対象とした。

          あくまで試みであり、個別の医療条件で変化があるものである。

 

      注意:イマチニブの薬価のみの医療費ではなく、実態に近い関連医療費を

         想定して試算しているので、個別のケースでは異なることがありうる。

         本来なら、大原薬品工業の計算式からの結果で示すべきなのだが、

         上記の様に不明な点があるので、勝手な想定での試算とした。

         (試算事例の誤りなどがあれば、メーカではなく投稿者の責任である)

         *大原薬品工業のHPの計算システムから算出すると、上掲の試算例よりも

          さらに安くなっている。 

 

 

 

大原薬品工業による年間自己負担額の計算方法(グリベックと比較できる)は下表を用いている。る。(同社のホームページより)                                                                        

                                                                                                             (百軒)