新型コロナウイルス感染の恐れから、最も足を運びたくないのは病院だろう。でも、何時襲いかかってくるかもしれないのが『病』である。ちょっとした病やいつも通院してお薬を貰うような病なら、医師への電話で済ませられたら有難い。
厚生労働省は、4月10日に電話やスマホなどでのオンライン診療を解禁し初診も可能とした臨時措置を通達した。そして、ホームページ上に、このオンライン実施する一万有余の医療機関を都道府県別の一覧表で掲載した。しかし、この一覧表では、個別地域の医療機関を見出すのは至難であり、病院名で探すのも手間がかかる。
この制度を生かして感染の恐れのある病院への外来通院を避け、オンラインによる医師からの受診と処方箋発行による調剤薬局などからの薬の入手する手順を考えてみた。
①掛かりつけ医(クリニック)や定期通院の総合病院へ電話にて、この制度の適応の可否の問い合わせ。(誰でもがすることだろう)➡10%ほどの医療機関しか実施していない。
②掛かりつけ医がなかったり、(①)で受診不可の場合には、土肥淳子氏作成のGoogle Map(オンライン診療対応医療機関マップ)にて、希望する地域の医療機関を探すのがよい。
➂病院が決まれば、個々の病院での必要な手続きなどをホームページ上で見ればよい。HPへのリンクは、土肥淳子氏のマップにも出ている。
④具体的な事例として、関東労災病院の案内を掲示しておく。 (百軒)
Google Map(オンライン診療対応医療機関マップ 土肥淳子氏作成)の事例
地域によって、電話診療可能な医療機関の粗密がある。理由は不明だが面白い現象である。
見出した病院の詳細情報がマークをクリックすると掲示される。
電話オンライン診療の手続き案内事例(関東労災病院)
電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋発行の実施状況
(新型コロナウイルス対策)
HosPAC調査 2020/4/1
2020/4/8 更新
2020/4/17更新
2020/4/22更新
2020/4/30更新
2020/5/20更新
2020/6/25更新
医療機関 |
案内有無 |
ホームページでの案内内容 |
可否 |
【東京都】 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
電話診療による検査結果説明や治療方針説明 |
再診患者 |
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● |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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電話診療の終了について(6月) |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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● |
電話での処方せん発行⇒消失 |
現在不可 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎ |
定期受診 |
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● |
現在不可 |
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● |
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● |
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◎新 |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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【神奈川県】 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎新 |
再診患者 |
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➡消失 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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【千葉県】 |
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電話再診による処方箋発行⇒消失 |
再診患者 |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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【埼玉県】 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎新 |
オンライン診療:内分泌科 |
再診患者 |
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● |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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● |
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◎新 |
再診患者 |
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【群馬県】 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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【栃木県】 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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【茨城県】 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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◎ |
再診患者 |
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● |
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◎ |
再診患者 |
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● |
電話による診察で処方箋➡消失 |
再診患者 |
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● |
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● |
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◎実施 〇 準備中・検討中・可否の見解 ● 情報なし(=未実施)
(余談)
日経メディカル誌によると、厚労省が公開した『電話等診療が可能な医療機関のリスト』
に掲載されている医療機関数は10,624施設で、全国の医療機関数110880の9.6%と推定している。都道府県別では、山形県の31.1%から京都府の0.5%とまちまちである。
関東地区でいえば、千葉県の18.8%から栃木県の0.6%である。どうも、都道府県の出先から集めた時の方針の違いではないだろうか。この制度は登録制ではないので、厚労省の一覧表に掲載されていなくても実施しているところがありうる。上乗せのような診療報酬が定められているので、医療機関としては経営的には問題がないのではないだろうか。
本来の『オンライン診療』には規制が色々とあり、それほど普及していなくて医療機関の1%程度といわれている。しかし今回の厚労省の『電話オンライン診療』には従来の規制を緩和して初診も可能とした。その所為か、検索すると数多くのクリニックの「電話診療」の広告が出てくる。今回の新型コロナウイルス感染防止のための臨時措置が、一方で患者数の減少しているクリニックなどでの勧誘の一助に使われていると思うのは、下衆の勘繰りだろうか。日経メディカル誌によると、前年同月比で外来患者数がほとんど変わらない(42%)、25%未満の減少(36%)、25~50%減少(14%)となっている。
がん患者などにも、今回の臨時措置の電話診療が有効に使える場合が想定されるが、医療者側では二の足を踏みがちである。がん診療連携拠点病院の関東地区での状況を、各病院のホームページ上から調べてみた。4月ごろでは、平均で31%だが、栃木県の様に0の所もある。栃木は、全国医療機関での実施一覧表でも0,6%と最低レベルであった。県としての姿勢が伺われる。
(電話診療実施拠点病院数 / 都内全拠点病院数)
4月10日 5月20日 6月25日
東京都 11/30 13/30 14/30
神奈川県 6/18 8/18 8/18
千葉県 3/15 6/15 4/15
埼玉県 3/13 3/13 6/13
群馬県 3/9 6/9 6/9
栃木県 0/7 3/7 3/7
茨城県 6/10 6/10 6/10
また、このなかには厚労省のリストには『電話診療』実施と掲載されているのに、ホームページには全く案内の掲載のない拠点病院もある。
がん診療連携拠点病院にあっては、殆ど初診患者への実施は見られない。
参照文献・出典
②③Google Map(オンライン診療対応医療機関マップ 土肥淳子氏作成)
①新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について(厚労省)
①電話等診療が可能な医療機関のリストが公開(日経メディカル)
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